「……私、毎日『好き』って琉生くんに言ってるでしょ？」
「言ってますねー。琉生は流してますけど」
うっ。痛いところ突いてくるな。
まあ、そこは置いといて。
「その度に琉生くんは、断ってくれてて。そのことで、辛い気持ちになってるんじゃないかなって。そしたら、嫌だなぁって」
最後の方は声が小さくなって、聞き取りづらかったと思う。
だけど、だんだんと私の方が苦しくなっちゃって、声に出すのも震えてしまった。
「それは、さっき告られて振ったからっすか？」
「そこも聞いてたの！？」
「先輩たちが来るよりも先にいましたからね～」
春川くんは「すいません」と、絶対心では思ってないと私にもわかるくらいわかりやすい嘘をついて、あははと笑った。
その笑顔は乾いていて、だけどわかりにくい作り笑顔だった。
春川くんは、上手な人だ。
