愛言葉






何か、緊張を和らげる方法ないかな。


微妙な空気に流れる沈黙が、心を締め付けていく。




小さな音を立てて吹く風や吹奏楽部と合唱部の偶然生まれたハーモニーが、私の耳に突き刺さった。






「そ、そういえばさ!」




とりあえず、何か話題を持ち出して、この空気を変えなくちゃ。


そう思った私は、斎藤くんを見て、ある話題を思い出した。





「この間、大会優勝したんだって?すごいねっ」






斎藤くんはバスケ部のエース的存在、って桃葉が言っていた。


これからの将来を期待されている、有望な選手だって。





斎藤くんは背も高いし、人気者だし、1年の頃なんて学級委員も務めていて、次期部長とも呼ばれてるんだ。






「いや、あれは先輩がすごかったんだって」


「でも、斎藤くんも出たんでしょ?それなら、斎藤くんだってすごいじゃん」