――体育祭シーズンになった。
今、LHRの時間を使って、体育祭について決めている。
「衣緒、何に出るの?」
「借り物競争」
「へぇ~。お題に『好きな人』って出ても、相手がいるから真っ先に飛び出せるね」
「ふふっ。出て欲しいな、そのお題」
桃葉は私が借り物競争に出ることに、一瞬顔を歪ませた。
けれどすぐに、その表情を消して、笑顔を見せてくれた。
「桃葉は?」
「私?私は、リレーだったかな」
運動神経がいい桃葉。
そんな桃葉が、最後に行う誰もが注目するリレーに出るのは、正直「だろうな」と納得した。
「応援するねっ」
私は小さくガッツポーズを見せて、桃葉にそう言った。