それに…… 琉生くんの方が先に私を見つけてくれたことが、すごく嬉しかった。 さっきから緩みっぱなしの表情。 琉生くんは、いつもどおりの無愛想を貫いている。 「帰るからここにいるんです」 「そうだよね」 当たり前だろ、と小さな声で呟いた琉生くん。 だけど私はその声には気づかずに、ずっと琉生くんのことを見つめていた。 「一緒に帰らない?」 「嫌です」 「どうしても?」 「お断りします」 琉生くんは靴を履き替えると、すぐに校舎を出て行った。 私から逃げるように。