パラパラとその本をめくっていき、なんとなくあるページを見た。
『恋が甘いなんて、誰が決めたの?
私の恋は、おかしいの?
賞味期限が切れているのかな。
私の恋は、まったく甘くなんてなくて、切ないほど苦いの。
賞味期限が切れてしまった私の恋は、きっとこれからも甘くない。
それならいっそ、忘れてしまいたい。
だけど、忘れるなんてできない。
だってこれは、私の初めての恋だから。』
そのページにある、主人公の気持ち。
その部分に、なぜか心臓の奥が揺れた。
私のこの恋は、甘いのだろうか。
それとも、コーヒーのように苦いのだろうか。
味なんて、わからない。
主人公は恋をしていて、だけど失恋してしまって。
それでも忘れられなくて、無我夢中にもがいている。
『この恋、賞味期限切れ』は、そんな切ない恋愛物語だった。
初恋を忘れたくない。
その気持ちは、私と一緒だ。



