――放課後。
「バイバイ、衣緒」
「うん。またね」
早々に帰りの支度を済ませてしまった桃葉、髪の毛を気にしながら私に手を振った。
今日、デートなのかな桃葉。
そんなことを思いながら、私は微笑みながら手を振り返した。
桃葉には、彼氏がいる。
中学の頃から好きだったらしく、付き合うまでいろいろあったらしいのだが、今ではバカップルのようなラブラブカップル。
「いいなぁ……」
ボソッと、帰りの支度をしながら呟いた声は、自分の耳にも入ってきて、さらに虚しくなる。
私も、琉生くんとデートしてみたい。
わがままかもしれないけど。
デートじゃなくても、ただの先輩と後輩が外に遊びに行く程度でいいから…。



