「――じゃ、俺そろそろ戻ります」
「私はもう少しここにいようかな」
私はバイバイと手を振って、琉生くんの後ろ姿が見えなくなるまで見続けた。
遠くなっていく琉生くんの姿。
手を伸ばしても届かない、空のような存在に見えた。
さっきまであんな近くにいたのに、もうこんなに遠い。
「……好き、だよ」
ポツリ、琉生くんの姿が見えなくなって、呟いた。
吐き捨てるように、投げやりになって落とすように。
大切な言葉なのに、いつもより感情がこもっていない「好き」。
あと何回、君にこの言葉を伝えられるかな。
離れ離れになるまで、あと何回……――。