親睦とかめんどくさい。
どうせ親しくなるなら、親しくなりたい奴となりたい。
俺は半分まで食べていたパンを全部食べてから、教室をあとにした。
「なんで嫌いなの?」
「あんなはっきりと言わなくてもよくない?」
俺が去ったあとの教室で、さっき俺に話しかけてきた女子がそう呟いた。
「ごめんねー。琉生、仲良くしたい奴としか親しくしねぇんだよ」
「どうして?」
「まあ、いろいろあってね」
志恩が俺のフォローしてくれていたことなんて、俺は知る由もなかった。
親睦なんて、要らない。
関係を深めても、いいことなんて何もないんだ。



