――桜が咲いている春。 この病院からは大きな桜の木が見えて、とても綺麗だ。 「衣緒」 病室に入って来た琉生くん。 私は琉生くんの姿を見ると、安心したかのように微笑んだ。 「体調はどう?」 「大丈夫。琉生くんこそ、疲れてない?」 「平気平気」 琉生くんはそう言うと、私から私の腕の中に視線を向けた。 優しげに目を細めた琉生くんは、呟く。 「可愛いな……」 愛しそうに、見つめる。