「それに、先輩が生きる希望失ったらダメじゃないですか。先輩、生きてください。俺と一緒に」
ふわり、と優しく抱きしめられた。
琉生くんの優しさが、温もりが、私の涙を誘う。
どうして……
どうして琉生くんは、私にそんな優しい言葉を言ってくれるの?
琉生くんがそばにいることがあまりにも嬉しくて、
これが夢だったらどうしよう、って不安になる。
私が抱えてきた全てを、琉生くんが受け止めてくれた。
だからか、少しだけ身体が軽い。
「私ね、神経膠腫【シンケイコウシュ】っていう病気を患ってて、脊髄腫瘍っていうのがあるんだって。いずれ感覚障害や麻痺が起こる可能性があるんだって。5年生存率が38%って言われた」
お医者さんの話は難しくて、全てを理解するのはできなかった。
だけど、私が生きていられる確率が低いってことだけはすぐにわかった。



