「先輩」
琉生くんは私の小さな手を握り締め、優しく私を見つめる。
琉生くんの手のひらの温もりが、私に伝わってくる。
「今まで先輩は俺に『好き』とは言っても『付き合って』とは言いませんでしたね」
「……うん」
私と琉生くんは、結ばれない運命なんだ。
私と付き合ったって、琉生くんが幸せになるとは限らない。
琉生くんを苦しめてしまうかもしれない。
だから「好き」って伝えるだけにしたんだ。
振られるとわかっていたから。
「だから、俺から言います」
私の手を握る力が強まる。
ギュッ、と優しく包み込む。
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