今まで先輩が抱えてきたものが、あまりにも重いもので。
俺が今まで見たきた先輩の表情なんて、きっと一部分でしかなかったんだろう。
そう思うと、胸が締め付けられた。
「これからどうするの?」
「そんなの決まってます。
――先輩に会いに行きます」
金井さんに先輩がいる場所を教えてもらい、俺は金井さんにお辞儀をして、駆け出した。
先輩に一秒でも早く会いたくて、必死だった。
「衣緒、幸せになってね」
俺が学校を出るとき、金井さんは窓から俺の姿を見ながらそう呟いた。
とても切なそうな笑顔で……。
先輩は俺の過去を聞いてもなお、そばにいてくれた。
俺の全てを包み込むように、愛してくれた。
今度は俺が、先輩が背負っているものを抱きとめる番。
俺が先輩を守るんだ。