愛言葉









今の先輩の笑顔が、一番苦しそうに見えたんだ。



「大丈夫」と言うときの笑顔のように。


今まで騙されてきた笑顔のように。










「バイバイ」




そう囁くように言った先輩の声は、クリスマスの日の夜に見た夢とまるで同じだった。


あれは予知夢だったのだろうか。





バイバイって……なんだよそれ。


どういう意味だよ。



夢のように、消えるっていうか?






先輩は俺の横を通り過ぎ、屋上を出た。



俺はただ立っているだけ。


声を出すことすらできなかった。




「バイバイ」と言われた衝撃が全身を駆け巡り、苦い味が口の中に広がった。