「屋上ですか?」 「うん。屋上で話しようよ」 そう言った先輩は、俺の返事を聞く前にさっさと階段を上り始めた。 俺はそんな先輩の自由らしさに微笑みながら、先輩のあとを追い階段を一段ずつ上った。 屋上の重い扉を開けると、冷たい風が肌に当たる。 「今日の空は、微笑んでるみたいだね」 先輩はフェンスに手をかけ、顔だけ振り向いてそう言った。 空が微笑んでいる、なんて 先輩らしい表現だな。 「……琉生くん」 「なんすか?」 「クリスマスの日、行けなくてごめんね」