学校に着き、教室へ向かう。
「なあ、あれ……!」
教室まであとわずかという距離で、いきなり立ち止まった志恩。
志恩は教室の前を指差しながら、俺の肩を叩く。
「なんだよ……」
いきなり大声出して、なんなんだ。
俺は志恩が指差す方向へと、視線を向けた。
「!」
そこには――北村衣緒先輩の姿があった。
どうして今、そこにいるんだ……?
先輩は教室の中を覗いているようだった。
そしてなんだか残念そうな顔をして、不意にこちらを見た。
「あ、琉生くん!!!」
満開の花のようだと、思った。
先輩が俺を見た瞬間笑顔になるから、俺はびっくりして心臓が飛び上がる。



