――ハッ!、と目を開ける。
夢から覚めた俺の額には汗が滲んでいた。
そして視界は、歪んでいた。
「今の夢って……」
最悪な夢だ。
先輩が、離れていく夢。
さっきまでいた世界はあくまで夢なのに、妙なリアルさがあって
怖い怖いと怯えながら泣いていた先輩の姿が、目に焼きついて
最後に先輩が呟くように送った「バイバイ」というメッセージは、まるで永遠のお別れをするようだった。
まるで予言でもしているかのような
そんな不安が、俺を戸惑わせた。
冬の寒さに慣れずに、俺は冷たい床に足をつけた。
大丈夫。あれは夢だ。
そしてこれは……現実だ。



