『夜眠るたび怖い。琉生くんに会えなくなるのを想像しただけで、怖い』
先輩の声は尋常ないほど震えていて、また先輩の瞳から涙がこぼれ落ちた。
先輩の手はこ刻めに震えている。
こんな先輩の弱々しい姿、初めて見た……。
これは夢だけど、先輩は心の中で何度もこうやっていつも一人で泣いていたのかな。
「大丈夫」と言いながら、ずっと心細く泣いていたのかな。
『だんだんとはっきりしてくる変化が、怖いの』
『変化?』
『小さく小さく変わっていくの。でもその変化を自分では止められなくて……っ』
肩を震えさせ、顔を手で覆いながら泣き始めた先輩。
一人で泣くなよ。俺を……頼れよ。
俺は無意識に、先輩を抱きしめていた。



