その日の夜、俺はある夢を見た。
目を開けたら、そこは真っ白な世界で。
すぐに夢だと気づいた。
夢だと気づく夢なんて初めてで、俺は辺りをキョロキョロしながら、端が見当たらないこの世界を歩いていた。
『うぅ……っ、ぐすっ』
どこからか泣き声が聞こえてきた。
誰だ?誰か俺以外にいるのか?
『……うぅ、』
泣き声を押し殺しているようで、はっきりとは聞こえない。
でも俺は、その小さくでしか聞き取れない声を追った。
『あ、いた……』
やっと見つけた、うずくまっている影。
俺はその人に一歩ずつ近寄った。
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