金井さんはフッと微笑み、「わかった」とだけ言い残して去っていった。
ギュッと握る手。
手紙が少しだけクシャッとなり、慌てて手の力を弱める。
俺は何も先輩のことを知らない。
……知りたい。
どんなことだって、先輩のことなら知りたい。
志恩、悪い。
結局、伝えられなかった。
先輩ばかりが「好き」と伝えてくれたんだ。
メールで伝えようとも考えたが、やっぱりやめた。
いつもいつも直接伝えてくる先輩に失礼だと思ったんだ。
俺も直接会って、伝えたい。
先輩に、俺の素直な気持ちを。
聞いてくれますか?先輩――。