「理由は言えないけど、ダメなの。
あ、そうそう。衣緒があなたに手紙を書いたの。はい、これ」
「手紙……?」
先輩が、俺に?
先輩の友達の金井さんが、俺に手渡した一通の手紙。
青空がプリントされた封筒に入っていたのは、真っ白い便箋だった。
まるで今降っている雪のような白さ。
その便箋には、先輩の文字がズラリと並べられてあった。
何度も何度も書き直された跡が残っていて、一生懸命書いてくれたことが伝わってくる。
「衣緒が『行けなくてごめん』って言ってたよ。衣緒、ずっと今日が待ち遠しくて仕方ない様子で、すごく残念がってた」
「先輩、大丈夫なんすか?」
「衣緒は『大丈夫』って言ってたけど、わからない。私には、衣緒の本心はわからないわ」
金井さんはそう切なそうにそう言って、視線を落とした。
俺は手紙に綴られた言葉へと視線を移し、手紙を読み始めた。



