志恩はそう言って、俺の背中をバシッと叩いた。
それはもう、力強く。
「力強すぎだろ、お前」
ジンジンする背中をさすりながら、俺は志恩を睨む。
志恩は「悪ぃ悪ぃ」と軽く言いながら、口笛を吹いた。
「……ま、ありがとな」
俺は小さな声でそう呟いた。
志恩はその声に気づき、俺を見てニッと笑った。
先輩との距離を縮めるために
先輩が今まで届けてくれたたくさんの愛のように
俺はクリスマスの日に―――。
その時の俺は、クリスマスの日への緊張と勇気でいっぱいいっぱいで、
胸に溢れていた影を帯びたざわめきに気づきもしなかった。



