疑問形ではない、断定形。
やっぱり志恩には、なんでもお見通しなんだな。
俺は頷くことも首を振ることもせず、黙ったまま志恩を見つめ続けた。
志恩は「やっぱりな」とため息混じりに呟き、また瞳を尖らせた。
「早く衣緒さんにそれ伝えて、幸せにしてあげろよな」
「なんでお前がそんなこと……」
「そんなことはどうでもいいの。ただ衣緒さんが幸せになってくれさえすれば……っ」
だんだんと声が小さくなっていく。
志恩は苦しそうに唇を噛み締めた。
文化祭の日、志恩と先輩に何があったかは知らない。
志恩は何も話さないし、俺も何も聞かない。
志恩が何も話さないってことは、聞かれたくないってことだろうから。
「……クリスマス、先輩と会うことになってる」



