なんで今、あの時の先輩の言葉が頭を過ぎったのだろう。
俺は今になっても、あの言葉の意味がわからない。
先輩はどんな想いでそう言ったのか。
時間は決して戻らない。
時間は決してリズムを狂わせたりしない。
だからこそ、不安になるんだ。
時間が過ぎてしまったら、もうあとには戻れないから。
気づいたときには既に手遅れだったら、後悔しか残らないから。
「なあ琉生」
自分の席に戻ると、志恩が声をかけてきた。
俺は志恩に目を向け、「なんだよ」と呟く。
「お前、もうわかってんだろ。自分の気持ち」
鋭い志恩の瞳が、俺を貫く。



