俺にはそう見える先輩が今、「大丈夫」なんて言うから
さらに心配になっちゃって。
もしも今笑っているその表情が嘘ならば、
俺の前では嘘をつかないでくれ。
俺の前では、弱気になっていいから
先輩ぶんないで、ありのままのあんたを見せてくれよ。
弱いとこも全部、俺が守ってやるから。
――……って、何思ってんだ俺は。
俺みたいな非力な奴が、何できるんだっつの。
それでも俺は、
いつも笑っている弱い彼女がいつか壊れてしまわぬように、見守っていたんだ。
「琉生くん」
先輩の優しい声が、締め付けられていた俺の胸をノックする。
そして俺は、なんの躊躇もなく、心の扉を開けるんだ。



