「あれ?琉生くん、背伸びた?」 北村先輩のところに行くと、先輩は俺を見上げながらそう言った。 必然的に上目遣いになる先輩。 ――トクン…… まただ。 また、この甘い音を立てた鼓動。 最近、多いこの甘ったるさ。 感情の名前はおそらく………。 「そうっすか?」 「絶対伸びたよ。今何センチくらいなんだろうね」 「さあ?成長期っすから」 「ふふ。そうだね」 幸せそうに笑みをこぼす先輩の表情を見ていると、心の中が温かくなっていくのはなぜだろう。