期待と、少しの不安。 胸にある感情に名前をつけるとしたら、きっとそれだ。 「琉生くん!!」 今日も聞こえてきた、あの声。 志恩はニヤニヤしながら、俺を見る。 俺は志恩のその視線にムカつきながら、ため息をついた。 「おい、呼ばれてるぞ」 「わかってるよ」 ちょうど昼食も食べ終えた、そんなナイスなタイミング。 俺は、教室の扉の方に目を向ける。 俺と目があった北村先輩は、嬉しそうに微笑んだ。 その笑顔を見ると、自然と足が動いているんだ。 自然と、先輩に近づいていく。 不思議な感覚だ。