応えなんて、わかっている。
衣緒さんを好きになった時から、わかっている。
俺は目をそらさずに、衣緒さんを見つめる。
衣緒さんは視線を落としていたが、なんと返事をしようか決まったのか、真っ直ぐな瞳で俺を捉えた。
やっと、俺が映った。
揺らがない瞳。
衣緒さんの目は、どこまでも澄んでいた。
「ごめんなさい」
衣緒さんは深く頭を下げて、きっぱりとそう言った。
「私は琉生くんが好きだから、気持ちに応えることはできない……。
でも、春川くんの気持ちはすごく嬉しかった。――ありがとう」
衣緒さんは柔らかな笑みで、そう言った。
衣緒さんの声は、俺の胸に直接響いた。



