「え、今、可愛いって言った?言ったよね!?
ちょっと適当っぽかったけど、まあいいや。可愛いって言ってもらえただけで」
――ドキン……
ああ、マジでやめてほしい。
衣緒さんの琉生に向けた優しげな笑顔に、ときめくのだけは、やめてほしい。
苦しくなるんだ。
その笑顔は琉生に向けたものなのに、そんなこと気にもしないで、俺の胸は高鳴るんだ。
どうして恋愛って、こうも苦しいものになるんだろう。
こんなの、辛いに決まってるのに。
それでも、好きでい続けたいと願うのは、どうしてなのだろうか。
恋をやめようと思ってもやめられないのは、どうしてなのだろうか。
お願いだから、そんな無防備な笑顔を見せないでくれ。
……せめて、俺を先輩の瞳に映して。



