「どうしたの?春川くん。何か面白いことでもあった?」 俺の笑顔に、首を傾げる衣緒さん。 俺は口角を上げて、 「面白いというか、嬉しいことが」 そう言って、さりげなく衣緒さんの手を握る。 衣緒さんは「えっ」と声をもらしながら、手と俺を交互に見つめる。 「先輩、どこから行きましょうか」 俺は先輩の手を引いて、俺のやや後ろを歩く衣緒さんに目をやる。 先輩は俺の隣に並び、持っていたパンフレットを広げた。 「えーっとじゃあ、三年生がやってるお化け屋敷から」 「了解っす」