文化祭準備期間は、衣緒さんに会えないくらい忙しく、
会ったとしても、挨拶を交わす程度の時間のみ。
そんな忙しい期間中も、衣緒さんは昼休みになると琉生に会いに来ていた。
文化祭まで残りわずかになってくると、衣緒さんの目の下にはうっすらとクマが。
そんなに忙しいのに、どうして。
何度もそう思った。
だけど、衣緒さんは満面の笑みで、疲れなど感じさせないくらいの明るい声で、
「琉生くん、好きだよ」
そう言うんだ。
その瞬間、俺は思った。
……恋ってすげぇ、って。
恋の力で、あんなにも元気そうに見えるんだ。
そして俺はまた、衣緒さんの優しそうな笑顔を見て、想いを募らせたんだ。



