志恩はチャラけたやつだけど、勘が鋭く、根はいいやつだ。
まあ、こういうところは治したほうがいいが。
志恩は「プリント見せてくれよ~~」と俺に言い続けているが、俺も無視を続行。
窓際に来て、ふと外を見ると、あの人を見つけた。
北村衣緒先輩。
入学式があった次の日に告ってきた先輩。
さすがにあれには驚いた。
知らない人だったし、いきなり「好き」って言うし。
俺のこと何も知らねぇくせに、よく言えるなって思った。
「あ、琉生に毎日会いに来てる人じゃん」
いつの間にか志恩も俺と同じところを見ていたらしく、俺の隣でそう呟いた。
わざわざ俺の教室まで会いに来る先輩。
志恩は北村先輩のことを、そう印象づけている。