桜はすでに散ってしまった、春がもうすぐ終わってしまうそんな季節。


上を向けば、永遠と広がる青い空が私を眺めていた。





繋がりを求めようとして、高い空に手を伸ばす。


だけどどうやったって届かなくて、私はすぐに手を下した。





「何やってんの?衣緒」





教室の窓から外を眺めていた私の名前を呼んだのは、高校に入ってできた友達ですでに親友と呼べるくらい親しくなった、金井 桃葉【カナイ モモハ】だった。





「空見てたの」



「空に何かあったの?」



「ふふ。まあね」





面白いものでもあったのか、と桃葉は私と同じように空をチラッと見た。


私はそんな桃葉を見て、思わず小さな笑みをこぼす。






高校二年生になって、まだ間もないそんな頃。


穏やかな雰囲気が漂う、春の終わり。




小さく小さく変わっていくのは、私自身だった。