「嘘つかないでください」 「え?」 「なんでもなくないですよね?どうかしたんすか?」 私の顔に貼り付けていた笑顔が、ボロボロと崩れていく。 どうしてわかったの? なんでもない、は嘘だって。 本当は、本当の心は……っ。 「ううん。本当になんでもないの。 心配してくれてありがとう」 だけど、私はまた嘘をついた。 見え見えのわかりやすい嘘。 好きって伝えるたびに、君との距離を縮められるなんて、思ってない。 好きって伝えられたら、それでいいんだ。