「いや、別に」 琉生くんはハッとして、視線をそらした。 やっぱり何か言いたげな顔だ、琉生くん。 春川くんに、何を言いたかったんだろう。 「琉生くん」 「なんすか?」 知りたい。琉生くんの全てを。 だけど今の私には、そう言える資格はない。 だって私は、琉生くんを好きな人の中の一人。 多勢いるうちの、たったひとりに過ぎない。 全てを知ってもいい立場じゃないんだ。 彼女でもないのに……。