夏祭りは、すごく楽しかった。 琉生くんが射的で取ってくれた景品のどこにでも売っているお菓子は、私の宝物。 夏休みは長く感じた。 琉生くんに会えない日が何日も続いて、辛かった。 夏祭りの日にお互いのメアドを交換したけど、たったそれだけ。 毎日メールを送っても、返信をくれるのはたった数通。 それでも、唯一繋がっていられるこのメールが、私にとってはたったひとつの幸せだったんだ。 ――二学期がついに、始まった。 「久し振り、衣緒」 すっかり肌が焼けた桃葉が、私に元気な笑顔を向けてそう言った。