「……はぁ」 口を開いた琉生くんが出したのは、答えではなくため息だった。 えっ、ため息を出すほど嫌!? 琉生くんの小さなため息に、私はショックを受けた。 手を握るのは、諦めたほうがいいのかもしれない。 「またはぐれたら面倒ですし」 「え?」 ――ギュッ…… 不意に感じたのは、温もり。 それは、さっきまで左手に感じていたもの。 「る、いくん?」 これって、……つまり、そういうこと?