「相変わらず消極的だなぁ、衣緒は」 「そうかな?」 「そうだよ!……って、早くしないとチャイム鳴っちゃう!!」 「やばいやばい!」 桃葉は、私のことを大切に思ってくれている。 大切な友達だから、あんなこと聞いたんでしょ? 『ねぇ、もし両思いになれたらどうするの?』 もしも、本当に両想いになれたら、 私はどうするんだろう。 ……いや、ならない。 “もしも”なんて、ない。 琉生くんは、私のことを好きになるどころか嫌ってるもん。 ……奇跡なんて、起こらないよ。