「ほら、先輩。勉強再開しますよ」 「あ、うん」 先輩に、ひとつだけ秘密。 今俺が、嬉しいと思っていること。 先輩に信じられ、先輩を信じる。 その関係を愛おしく思っていること。 それは、先輩には教えない。 芽吹いている感情。 その感情の名を、俺は知らない。 だけどいつかわかるだろう。 その時まで、俺は――。