「それ以来、親しくする関係が嫌いになりました」
親しくする関係?
……それってつまり、友情や恋愛ってこと?
「自分が親しくしたいと思う奴としか、仲良くしなくなった。信頼関係が、怖くなったんす」
「琉生くん……」
「ま、友達は志恩だけで十分ってくらい、志恩はうるさい奴なんすけどね」
琉生くんは乾いた笑みを浮かべながら、未だに眉間にシワを寄せている。
辛い記憶を、読み起こしているんだ。
辛いことを思い出させてごめんね。
私じゃ何も力になれないかもしれない。
だけど、少しでも、彼の辛さが小さくなったら。
彼の苦しみを分けてくれたら、その辛そうな表情は消えるのかな。