「俺が“言わなかった”のは、言うとさらに話がややこしくなるから。今先輩と一緒だし、迷惑かけたくなかったんで、早く帰ってもらうには……」
黙っていればいい、そう考えたんだね。
でも、辛そうな琉生くんの表情は、まだ変わっていない。
「俺、あいつらとは一時期だけ仲が良かったんすよ」
「一時期だけ?」
「はい。……俺、いじめられてたんす。殴られたり蹴られたりとかそういうあからさまないじめじゃないっすけど」
「え……?」
琉生くんが、いじめられていた?
予想外の言葉に、かける言葉を見失う。
「でも、志恩もいたし子供【ガキ】のいじめなんで、大したことなかったんですけど」
琉生くんは一度言葉を切り、ギュッと拳を握り締める。



