「それはよかった」 震えた声でそう言って、私は本棚の方へ足を向けた。 ああ、ダメだ。 琉生くんから受け取ったたった一言が、あまりにも嬉しくて。 心臓が、壊れそう。 クッキー作ってよかった。 思い切って渡して、よかったぁ。 ふと、本棚の本を見ると、たくさん並ぶ本の中で、見たことのある本が一冊。 「あっ」 『この恋、賞味期限切れ』だ。 懐かしい。 前に放課後、ここに寄ったときに見つけた本。 桃葉におすすめしようと思って、忘れてた。