わかっていた運命を
変えてくれる存在なんて、ない。
永遠なんて、ない。
ただ在るのは、待ち受ける運命が、時間が過ぎていく度に近づいてくるということだけ。
――キーンコーンカーンコーン
ハッ、と上の空だった私は、チャイムによって我に返った。
「ずっとボーッとしてたでしょ、衣緒」
前の席の桃葉が振り向いて、ジッと私を見る。
私は図星とでも言うように、俯いた。
「クッキー、受け取ってもらえたんでしょ?なのになんで、そんな暗いの?」
「……変わっていくものと変わらないものについて、考えてた」
曖昧な表現で、私はそう呟いた。