毎日必ず、何かが変化する。



小さくても、大きくても。

その変化は毎日訪れる。








「……ゴホッ」



2年6組の教室に入る前に、北村先輩は小さな咳をした。




そのことを俺が知るはずはなく、俺はクッキーをカバンの中にしまい、教室に入った。










まだ気づいていない、俺のことをなにも。


俺自身が、まだ……。








一歩だけ踏み出した俺と先輩の距離は、


少し縮まったといえど、距離はまだまだ長い。





先輩が俺に遠いんじゃない。


俺が、先輩に手を伸ばしても届かないんだ。






俺はそのことにさえ、気づいていない。