「そうか?」 「そうだよ。俺は至って普通だ」 「……普通、ねぇ」 志恩の疑いの視線を、ビシビシと感じる。 俺のあからさまな嘘を、志恩は見抜いているんだ。 さすが、と思わざるおえない。 「ふーん」 けれど志恩は、その嘘を素通りして流してくれた。 こういう優しさがあるから、志恩を信用できるんだ。 「ま、悩みとかあればいつでも相談乗るからなっ」 そう明るく言ってくれた志恩は、俺の肩に腕を回し、ニッと口角を上げた。 志恩、サンキューな。