志恩の言葉に、俺は肩を少しだけ上げた。
それは、先輩のことを気にかけているせいかもしれない。
直感的にそう思った。
……いや、だって、あれは心配するだろ普通。
俺が原因で女子に強くああ言われて、俺の助けが遅かったせいで倒れて…。
ましてや俺のことを好いている人だぞ?
放っておけるわけねぇだろう。
だから……責任を感じているから、心配だから、ただそれだけだ。
別に、俺も先輩が好きだからこんなに気にかけているわけじゃない。
さっきのことを気にしているだけ。
そう、それだけなんだ。
自分の中で長い言い訳をブツブツ言いながら、俺は顔を上げる。
「そんなこと、ねぇよ」
俺はただ、志恩にそう否定するしかできず、青い空が視界いっぱいに入った今、もうなにも考えられなかった。



