これは、俺の中で芽生え始めたある感情のせい。
けれど俺は、そんなことを知るよしもなく、こっそりと頭の中で志恩の想い人を考えていた。
照り続けている太陽の眩しさを片方の手でガードしながら、俺は綱引きを行う人が集合する場所へと、志恩と一緒に移動していた。
北村先輩、大丈夫かな?
そんな心配を抱え込みながら歩いていると、志恩が「どうしたんだよ」と尋ねてきた。
「何が?」
「らしくねぇな、って思ってさ」
「?」
意味がわからない。
らしくない?どういう意味なんだ?
「やけにボーッとしてるな、今日のお前」



