人ってこんなにもあっさり、恋に落れるんだな。 呑気にそう思っていた。 好きになるのに時間なんて関係ない。 好きになるのに条件なんて要らない。 桃葉が1年生の頃そう言っていたのを思い出して、私は心の中で頷いた。 この人のことが好きだ。 どうしようもなく、想っちゃったの。 『――……ん、』 目を開けると、白い天井が目に入った。 ここ、どこ? 上半身を起き上がらせて、こめかみを抑える。 気分はだいぶ落ち着いた。 気持ち悪さももうない。