「なあ、琉生」 「ん?」 真剣味を帯びた志恩の声に、ビクッとなる。 久し振りに聞いた、真剣な声。 志恩……? 「俺さ、好きな人できた」 真っ直ぐな声質に身構えていると、志恩が紡いだ言葉はたったその一言だけ。 それだけだったけど、俺にとっては重大な発言だった。 志恩に、好きな人? 「だ、誰だよ」 「それは秘密ー」 いつものような陽気な声に戻った。 秘密って…、なんだよそれ。