先輩が倒れていることに気づいた俺は、すぐに先輩のそばに駆け寄った。
貧血?それとも熱中症?
原因は分からないが、早く保健室に連れて行かないと。
状況を察した先輩の友人は、『さっき保健医いたから、呼んでくる!』と言って、生徒玄関をあとにした。
「……本当にバカだ」
先輩も、俺も。
心地よさそうに眠っている先輩の寝顔がなんだか可愛く感じて、小さく笑みをこぼす。
あんな女子なんて無視して、グラウンドに行けばよかったのに。
それに、俺も先輩が倒れる前に行っていれば……。
後悔の気持ちが、波のように胸の中に溢れてくる。
けれど、後悔の気持ちよりも遥かに、嬉しさが多かった。
先輩が言ってくれた言葉ひとつひとつに嘘は、決してない。
だからこそ、先輩が紡いだ言葉に照れくさくなって、そして……嬉しくなったんだ。



