でも、確かに感じていたのは、琉生くんの温かな体温。 琉生くんの大きな手のひらから感じるそれは、私をとても安心させた。 持ち上がられてからの記憶は、曖昧。 ほとんど覚えていない。 だけど、 『大丈夫』 と琉生くんが私に、何度も優しく言ってくれていたことだけは、はっきりと覚えている。 何度も何度も。 私を落ち着かせるために。 琉生くんの優しさに、私はコロッと簡単に恋に落ちた。 顔なんて知らなくても、その優しさだけで好きになった。 それは私にとって、初めての恋だった。